音無しの剣
更新が遅くてすみません
ぼちぼち横山作品を読み返しているので更新は超鈍足です。
音無しの剣を読みました。
江戸時代に音無し剣法を編み出した又四郎に次々と挑戦してくる武芸者との戦いを描いてます。
まずこの作品の2017年現在入手しやすい単行本を紹介します。
現在も新品で入手できます。
1番最初に発売した東光堂が出版したものを再現したものです。カバーを裏返すと東光堂版の表紙になります。中身はカラーページも再現しています。印刷状態も良く絵のカスれや潰れもほとんどありません。
なにより印象的なクライマックスのカラーページは後ほど紹介する講談社版より感動的です。
つげ義春先生と漫画評論家の中野晴行さんの解説冊子が付いています。
東光堂版に思入れがある、音無しの剣だけ読みたい人にオススメです。
・講談社版
初期作品集の第1巻です。
音無しの剣と竜車の剣、白竜剣士の3作が収録されています。
厚紙のスリーブケースに収納され愛蔵本となっています。残念ながらカラーページは再現されていません。印刷も小学館版と比べると印刷が悪く絵の掠れや潰れがあります。
同時収録の竜車の剣も白竜剣士も面白いのでどの道、横山ファンであれば手に入れる事になるので先ずはこちらを買うのが良い気がします。
絶版ではありますが中古で安価で手に入ると思います。
この作品は横山光輝先生の公式なデビュー作です。
この前にも幾つかの投稿作や掲載作がありますが先生は音無しの剣をデビュー作としてます。
おそらく横山先生の漫画家としてのデビュー作なんだと思います。
デビュー作ですが既に横山先生の痛快なテンポや迫力あるアクションシーンはある程度完成してると思いました。後の作品を連想する要素もたくさんあります。
小学館版の中野さんの解説を読むとこの高柳又四郎は実在した人物で音無しの剣法も実際に又四郎が使っていたらしいです。
既にデビュー作で史実にオリジナルストーリーを組み合わせる作品を作っていたという事には驚きました。
印象的なキャラクターはやはり又四郎のライバルとなる村雨次郎。顔も性格も後の作品に出る鉄人28号の村雨龍作です。
物語の中心になる音無し剣法ですが、無敵の剣法という事で周りの人間から邪剣とか魔剣として恐れられる事になり、又四郎はこの剣法を使えば使うほど敵が増える事に悩む事になり、最期は大切な人を失い、誰にもこの音無しの剣を伝授しなかったという終わりです。
この強い剣法がある事で敵が増えるというテーマはこの後、鉄人28号に受け継がれ鉄人28号という兵器は操縦者次第で敵にも味方にもなる兵器で、初期は鉄人の奪い合いが話の中心になります。
横山先生の強い者が正義ではなくそれを使う人間が大切というテーマは色んな作品で表現されます。
横山作品を読んでれば読んでるほどこの作品を読んだ後発見が多いと思います。
いきなり読んでも面白いので是非オススメです。
そういえばこの作品もいきなりビックリする様な形で横山先生本人が登場します。
とても驚きました。