ちびっこ天使
今月末発売という事で
横山光輝先生の初復刻作品は超絶レアコレクション以来ですね。
横山光輝先生はSFマンガ、忍者マンガ、時代マンガの他にあまり知られていないが実は少女マンガも50年代後半から60年代前半にかけて多く描いています。
中でも魔法使いサリー、コメットさんは代表作で魔法少女物というジャンルを確立しました。その2作よりも先に作られたのがちびっこ天使です。
正直なところサリーの原作はかなり子供向けであまり良いイメージがありませんでした。
どうせ子供向けなんでしょ?と半ば義務的にちびっこ天使の単行本を購入しました。
しかし、読んで驚きました。傑作だったです。
みならい天使のチルルとマルルは善悪について学ぶ為に地上に降り人間に紛れて生活をはじめます。チルルは魔法が使えて人間を喜ばせれば善について解ると思い魔法を使っていきます。
天使と人間のカルチャーギャップコメディというかドタバタ劇です。
中でも印象的な話は同級生が宝くじを当てれば家族が喜ぶと聞かされたチルルが高額当たりくじに魔法で変えて当選。しかしそれをみた家族全員驚いて失神してしまいます。なのでチルルはくじを消してしまいます。失くしたと思った家族はまた失神してしまいます。それを見たチルルは困ってしまいます。
とてもマンガ的な表現ですが、要はチルルは心の機微が解らないのです。
マルルが人が喜ぶ良い事をしてるといってギャングの手伝いに銀行強盗をしてる話もあります。
たしかにギャングは喜ぶのですがそれは悪い事と知ります。
こう言った善悪とは単純そうで複雑な哲学を子供にも解りやすい軽快なコメディとして描くのは娯楽作を追求する横山光輝先生ならではだと思います。
これを手塚治虫先生や石ノ森章太郎先生が描いたら戦争が何だとか悪が〜とかなって大人に向けた重い話になってたと思います。
今回の復刻は扉絵2ページを除いてほぼ復刻です。
コピー時の絵の潰れもなくかなりキレイになっています。
二色ずりのカラーページもチルルの赤のワンピースがキレイです。
値段は少し高いですがオススメです。
もっといろんな世界を見なくちゃいけないワ
劇中チルルの最期の一言です。